FAQ

救急医を志望しています。広島大学救急集中治療医学で研修するメリットは何ですか?

広島大学救急集中治療医学講座は、広島県で唯一の高度救命救急センターとして全県から内因性疾患(内科系)から外傷まであらゆる重症患者を受け入れています。初期救急対応から集中治療まで一貫して当科が担当するため、救急搬送やドクターヘリでの現場対応からICUでの全身管理まで幅広い経験を積むことができます。小児の重症例も受け入れており、小児から成人まで年齢を問わず研修できるのも特徴です。

また、多彩な連携施設でER型救急や外傷外科の研修を組み合わせることができ、自分の興味に応じたプログラム設計が可能です。こうした恵まれた環境で、救急医として必要なスキルを総合的に磨くことができる点が大きなメリットです。詳しくはこちらをご覧ください。

広大救急ではどのような症例を経験できますか?小児や外傷の患者も診療していますか?

広島大学病院救急科では年間約1900件もの重症救急患者に対応しており、その中には小児から高齢者まで幅広い年齢層が含まれます。内因性疾患(内科系疾患)から外因性疾患(外傷など)まであらゆる救急疾患が搬送されてきており、他病院からの重症患者の転院搬送も積極的に受け入れています。救急車やドクターヘリでの前方支援による初期診療を行い、必要に応じて各科と連携しつつ、その後の集中治療管理まで救急科が主体となって一貫して対応します。特に広島県には小児専門病院が未整備のため、呼吸不全や敗血症などの重症小児患者(年間約70例)も当科で受け入れており、小児の救急診療・集中治療も経験できます。このように、年齢・症例を問わずあらゆる重症例を包括的に経験できることが広島大学救急科の特徴です。詳しくはこちらをご覧ください。

救急科医としてドクターヘリに乗務する機会はありますか?

はい。広島大学病院は2013年5月より広島県ドクターヘリの基地病院を務めており、広島ヘリポート(広島市西区)を拠点に県内全域へ出動しています。広島県は中国山地や瀬戸内海の島嶼部など無医地区が多い地域ですが、ドクターヘリにより県内どこでも約30分以内に高度な救急医療を届ける体制が整っています。

当科は県立広島病院との協力や中国地方5県の広域連携協定、県内の消防・防災ヘリ2機との連携など、全国でも先駆的なヘリ救急システムを構築しており、地域医療に不可欠な存在となっています。研修医もドクターヘリに同乗して現場救急医療に従事する機会があり、空からの救命活動を直に経験できます。詳しくはこちらをご覧ください。

集中治療科医を志望しています。広島大学病院ICUでの研修環境や特徴を教えてください。ECMOなど高度な治療も経験できますか?

広島大学病院のICU(集中治療部)では、朝のカンファレンスから1日が始まり、最大32床の重症患者について研修医から卒後10年目程度の医師までチームで担当し、若手中心に治療方針を熱く議論する活気ある雰囲気です。重症敗血症や多臓器不全の症例を広島県全域から受け入れており、院内の敗血症治療においても中心的役割を担っています。小児を含む血液疾患患者や臓器移植後患者など複雑な病態の重症患者も多く、各診療科と垣根なく協力して治療に当たります。院内急変対応チーム(RRS)による早期介入や、感染症科との週1回の合同カンファレンスで抗菌薬治療を検討するなど、病院全体の診療クオリティ向上にも貢献しています。

当科はECMOセンターとしての側面も持ち、体外式膜型人工肺(ECMO)を要する重症呼吸不全症例の治療では国内有数の実績があります。近隣病院との連携により重症呼吸不全患者を当院に集約し、呼吸器専門医を有するチームが間質性肺炎などの難治性呼吸不全に対してECMOを駆使した先端治療を提供しています。看護師・臨床工学技士・リハビリスタッフらとの多職種ECMOチームを組織し、院内で人工呼吸管理からECMOシミュレーションまで多数の勉強会を開催している点も特色です。ICUはほぼクローズド体制で、患者の全身管理や治療方針の決定を当科が主体的に行っているため、集中治療医として積極的に判断・介入できる環境です。高度な集中治療スキルを身につけたい方にとって非常に充実した研修環境が整っています。詳しくはこちらをご覧ください。

外傷治療や整形外科手術にも興味があるのですが、救急科の研修プログラムの過程でそういった経験を積むことはできますか?

はい、可能です。広島大学救急集中治療医学講座には整形外科の専門医が専属で在籍しており、救急科にいながら整形外科領域の知識や手技をいつでも習得できる体制が整っています。2020年4月には「外傷四肢再建学」講座も新設されており、当科と協働して外傷診療にあたっています​。

そのため、重症外傷患者に対して初期救急治療だけでなく、整形外科的手術治療まで一貫して関わることが可能です​。

実際に、適切な指導の下で整形外傷手術の執刀を経験することもできます​。

救急医療とともに整形外傷治療にも興味がある方には最適な環境ですので、ぜひ一度お問い合わせください。詳しくはこちらをご覧ください。

専門研修と大学院(研究)を両立することはできますか?大学院進学は可能でしょうか?

はい、救急科の専門研修中に大学院博士課程に進学して研究に取り組むことも可能です。当科では臨床のみならず学術研究にも力を入れており、専攻医が数年間の臨床経験を経てから大学院に進むケースも珍しくありません。

実際、救急集中治療分野における臨床研究や基礎研究のプロジェクトが多数進行しており、興味のあるテーマで研究に参加できます。広島大学大学院には救急医学や災害医療に関連したカリキュラムも用意されており、例えば緊急被ばく医療など専門性の高い分野を体系的に学ぶこともできます。指導教員のサポートのもと、臨床と研究を両立させながら学位取得を目指すことができますので、研究志向の方でも安心して研修に専念できます。詳しい研究内容などはこちらをご覧ください。

休暇は取りやすいですか?

当院の職務規定で認められている範囲内で、休暇は制限なく取得可能です。もちろん、社会人として患者さんの診療や自身の業務・研修に支障が出ない形で休暇を取っていただきます。

さらに、広島大学ではワークライフバランスに配慮した働きやすい職場環境づくりに力を入れており、安心して育児休暇を含めた長期休暇を取得できます。例えば、夏休みの場合最大5日連続で習得でき、平日5日間と前後の土日を合わせれば最大9連休にして、海外旅行などに行っている方もいます。どれくらい休暇を取っているかの目安は、詳しくはこちらをご覧ください。

休憩は取りやすいですか?仕事が忙しすぎないか心配です。

救急集中治療科では日によって業務の忙しさが異なり、十分な休憩時間が取れる日もあれば、休憩が取りづらい日もあります。基本的な休憩時間帯は決まっていますが、その日の状況に応じて時間を前後に調整して休憩を取っています。概ね研修中ももゆっくり食事をとれる時間を確保できています。広島大学ではスタッフ同士の連携も良く、忙しい日でもお互いに協力して休憩を取れるよう配慮しています。詳しくはこちらをご覧ください

業務の忙しさには日によって波があります。重症患者の受け入れや救急搬送が多い日は忙しくなりますが、そうでない日は非常にゆったり過ごせます。ただ、日中どれだけ忙しくても、夕方のカンファレンス後(17時頃)には基本的には帰宅可能であり、メリハリのある勤務が可能です。広島大学では適切な業務配分により、研修中に忙しい日でも無理なく働き、オフの時間も大切にできる職場環境を実現しています。詳しくはこちらをご覧ください

救急科専門医以外の専門医資格も気になるのですが、ダブルボードやサブスペシャルティについて教えてください。

救急科専門医は、それだけで極めて高い専門性を有しますが、そこからさらにサブスペシャルティ領域(たとえば感染症専門医や消化器内視鏡専門医など)を取得して活動している救急医も増えています。

サブスペシャルティとは、基本領域専門医(例:救急科専門医)取得後に追加できる2段階目の専門資格のことで、ダブルボード(ダブルスペシャルティ)とは基本領域を2つ取得することを指します。日本専門医機構としても取得への制限は設けていませんが、更新基準などの維持が大変なケースもあるため、希望される方は各学会の規定をよく確認する必要があります。

現在、救急科専門医をベースに集中治療専門医、感染症専門医、消化器内視鏡専門医など多様なサブスペシャルティへ進む道が開かれつつあり、当教室でも意欲のある若手を積極的に応援しております。

広島大学では、大学院や関連各科(麻酔科・整形外科など)との連携を通じて専門性を深める“学びの輪”が広がっており、個々のキャリア形成を後押しできる体制を整備しています

救急科と他科のダブルボード取得は実際に可能なのでしょうか?

はい、可能です。日本専門医機構が基本領域2つの専門医取得を禁止していないため、救急科プログラムと他の基本領域を組み合わせてダブルボードを目指すことができます。実際には、救急科プログラムの一部を履修したのち、整形外科や外科など別の基本領域プログラムに移って専門医を取得し、再び救急科プログラムに戻って残りの研修期間を終える、といったケースが考えられます。ただし、日本専門医機構の承認や施設の研修責任者との調整が必要となるため、興味のある方は早めに相談されることをおすすめします。

広島大学では、大学病院や関連施設での研修環境を柔軟に組み合わせることが可能であり、各領域の専門家や指導医と連携しながらダブルボード取得を目指せるのが特徴です。

救急科専門医って専門性が乏しいという印象がありますが、本当でしょうか?

それは誤解です。救急科専門医は、外傷から内因性疾患、中毒まで多岐にわたる重症例を対象に、短時間で最適な初期診療を行うことを専門としています。いわゆる臓器別診療とは異なるアプローチで、重症・急性期対応に高度な専門性を発揮するのが救急科の特徴です。また、救急科専門医の中にはダブルボードやサブスペシャルティを取得し、特定の分野をさらに深める医師も少なくありません。まずは救急医療の総合力を身につけ、その後に興味ある領域の専門性を追加取得することができます。

広島大学では、この幅広い専門性をいかしつつ、学内外の専門科と連携し“多職種協働の輪”を広げることで、より質の高い急性期医療を実践しています。